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2009年第1四半期、オムジオでは、機関投資家の皆様が現在の市況にいかに対処しているか、また、将来に備えてどのような対策を立てているかの理解を深めるため、オムジオのアドヴァイザリー・ボードのメンバーである12を超える米国企業にインタビュー調査を行いました。この記事では、取引先リスクの管理に厳しい監視の目が向けられる今、ビジネス・リレーションシップという主要テーマのほか、経済危機がもたらしたオペレーション部門の重要性に焦点を当てています。
ビジネス・リレーションシップ - 金融サービス会社、資産管理会社、テクノロジー・ベンダーなどとの取引先リスクの管理に厳しい監視の目が向けられています。
昨今の経済危機の影響で、ビジネスパートナーとの関係に劇的な変化が起こりました。どの企業も、資産管理会社、テクノロジー・ベンダーをはじめとするビジネスパートナーがこれからも存続できるかどうか、チェックしています。経済危機の以前、企業がデユー・デリジェンスを怠っていたわけではなく、それどころか、オムジオがインタビュー調査を行った全社が経済危機以前もビジネスパートナーを注意深く観察していたと述べています。しかし、最近の経済環境によって、こうした企業も一層入念に詳細な分析を実施しなければならなくなっています。
サービス提供者としての視点から、企業各社はどの企業と手を組んでビジネスを行うかの選択に慎重になっています。テクノロジー・プロバイダーが、今まで以上に選別を厳しくする兆しは見られませんが、プライム・ブローカーのような一部のサービス提供事業者は選別を強化しつつあります。オムジオは、この傾向は、伝統的な機関投資家を顧客とする証券会社から、おそらくはカストディバンクにまで及んでいく可能性があると予想しています。証券各社は、顧客の収益性について強い懸念を抱き、顧客サービスの総負担費用をその顧客に関連するリスクおよび収益に対比させた分析を行っています。目下、プライム・ブローカーは、引き受けるリスクおよびヘッジファンドに投じてもいいと判断する資本に制限を加えており、それはすなわち、プライム・ブローカーが、自社ビジネスにとって無意味な顧客との関係をすぐにも断ち切るかもしれないこと意味しています。
伝統的な機関投資家を顧客とする証券会社の場合、この分析が多少異なった構造になっており、顧客のポストトレード業務プロセスが、どの程度自動化されているかが、分析する上で重要な要素の一つとなっています。自動化の遅れがその証券会社の経済性を低下させる場合、ファックスまたは電子メールでポストトレードの業務処理を行っていることをマイナス要因とし、不利な価格を設定していく可能性があります。その目的は、機関投資家に対して自動化を奨励するか、または今までどおり手作業での業務処理の継続を続ける場合は、機関投資家に他の証券会社を選択してもらうことで、証券会社にとっては収益性の低い顧客との取引を減らしていくという事態が起こりえるでしょう。
アウトソーシングは、2000年以降、業界の課題の一つとなってきましたが、企業はコスト削減の猛烈なプレッシャーにさらされ、そのため、アウトソーシングを行うべきかどうかの議論がますます過熱しています。しかし、目下の難しい課題は、長期的なコスト削減の恩恵と短期的な導入コストとの比較検討です。現在の経済環境下では投資運用会社は以前よりアウトソーシングを実行しやすくなっていると思われ、その結果、カストディバンク、資金管理会社をはじめとする専門アウトソーシング事業者がその恩恵を受けるでしょう。
オムジオがインタビュー調査をした証券各社は、バイサイド以上に財布の紐がきつくなっているため、今の経済環境下ではアウトソーシングの実施は以前より難しくなったとコメントしています。そのうえ、海外へのアウトソーシングとなると、バイサイド・セルサイドに関係なく業界のプレイヤー全体が非常に慎重になっています。たとえ企業にとって長期的なコスト削減効果が大きくても、国内で大量の失業者が出ている今、仕事を国外に移転することによって国民の反感や政治的反発を買いたいと思う企業はないでしょう。
オペレーション部門の注目度の上昇と重要性
経済危機の影響により、多くの企業でオペレーション部門が注目度と重要度を高めています。オペレーションを統括する経営幹部が、今回のプロジェクトで実施されたインタビューの主な対象者でしたが、オペレーション部門が自社内の「セカンドクラス」と見なされていると回答したのは、インタビューした経営幹部のごく一部であった半面、大半の経営幹部がオペレーション部門が組織内での役割を強めたことを示唆しました。
この変化には、複数の要因が寄与しています。一部の企業では、オペレーション部門は厳しい試練を乗り越えたことを理由に評価を高めています。ベア・スターンズが破綻し、リーマン・ブラザーズが非難の的となりやがて破産を宣言し、AIGが破綻しかけたとき、オペレーション部門は、簡潔なリスク・エクスポージャー報告書をタイムリーに自社内に提供し、自社が取引先の重大危機を切り抜ける際の舵取り役を果たすことに成功しました。
第二に、大半の企業がかつてないほど、データがまさしく組織の活力源であることを認識するようになっています。顧客、取引先、セキュリティに関する重要データの所有者兼管理者役としてのオペレーション部門の役割とは、企業にとって極めて重要で、その下流に存在する多数のシステムに供給される大量のデータに対して責任を負うことを意味します。おそらく、これらシステムの中でも今日の企業経営者に最も重要度と認知度が高いのは、リスク関連システムです。
ヘッジファンドは、業界でのスキャンダルを考慮するとともに今後ヘッジファンド業界に対して規制が強化されるとの予想に立って、オペレーション部門へ重点を強化せざるを得なくなっています。多くの人が、ヘッジファンドは透明性を必要とし、その結果、より強力な業務処理・報告能力が必要とされると考えています。さらに、大手の機関投資家およびファンド・オブ・ファンズ投資運用会社が独立した第三者業者を利用することを一様に要請していることから、多くのヘッジファンドはミドルオフィスやバックオフィスの業務をアウトソーシングするほかなくなっています。
最後に、どの企業も、取引フェイルのリスクを緩和することを重点視しています。企業は、取引エラーと「ニアミス」がどのようにして発生しているのか、誰が関与しているのかをより深く理解するため、取引エラーやニアミスの分析をこれまで以上に徹底的に実施しています。Incentiveとcompensationに大きく依存する業界に、アカウンタビリティーの新時代の幕が開いたと考えられます。
価格の大きな振れや変動が例外ではなく当たり前のこととなり、自社の取引先が明日または来週も取引先であり続けるかが不透明になれば、取引の迅速な決済を確実に行うことが、一方で失敗をせず、もう一方で他の債権者の並ぶ列から脱落しないための最善の策となります。こうした多様な議論から生まれた未解決の疑問は、この変化が永久的なものかどうか、すなわち、業界の懸念が高じている今だけの一時的変化なのか、あるいは、業界のDNAが永久に変化したことを意味するのか?というものです。
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